「羊をめぐる冒険」の翻訳(63)
本帖最后由 yamoli 于 2015-2-20 21:25 编辑4 彼女はソルティードッグを飲みながら波の音について語る(3)
細かい雨は翌日の五時になってもまだ降りつづいていた。四、五日からりとした初夏の晴天がつづき、これでもう梅雨はあけたのかもしれないと人々が思いかけていた矢先の雨だった。八階の窓から眺めると、地表は隅々まで濡れていた。高架になった高速道路では西から東に向う車が何キロも渋滞(じゅうたい)していた。じっと眺めていると、それらは雨の中ですこしずつ溶けかけているように見えた。実際、街の中の何もかもが溶け始めていた。港の突堤が溶け、クレーンが溶け、立ち並んだビルが溶け、黒い雨傘の下で人々が溶けていった。山の緑も溶けながら音もなくふもとへ流れ落ちていった。しかし何秒か目を閉じて次に開いた時、街はまたもとどおりになっていた。六基のクレーンはうす暗い雨空にむけてそびえたら、車の列は思い出したように時折東へと流れ、傘の群れは舗道を横切り、山の緑は満足そうにたっぷりと六月の雨を吸い込んでいた。
広いラウンジのまんなかの一段低くなったところにマリンブルーに塗られたグランド?ピアノがあって、派手(はで)なピンクのワンピースを着た女の子がアルペジオとシンコペーションで埋めつくされた典型(てんけい)的なホテルのコーヒー?ラウンジ型の演奏をしていた。悪くない演奏だったが、曲の最後の一音が空中に吸い込まれてしまうと、あとには何も残らなかった。
五時を過ぎても彼女は現れなかったので、僕はすることもないまま二杯めのコーヒーを飲みながら、ピアノを弾いている女の子をぼんやりと眺めていた。彼女は二十歳前後で、肩までの厚ぼったい髪をケーキにのせたホイップ?クリームみたいにきちんとセットしといた。リズムに合わせて髪は気持良さそうに左右に揺れ、曲が終るとまたまんなかに戻った。そして次の曲が始まる。
彼女の姿は僕が昔知っていたある女の子を思い出させた。僕が小学校三年で、まだピアノを習っていた頃の話だ。僕は彼女は年も技術のクラスも同じようなものだったので、何度か一緒に連弾をしたことがあった。彼女の名前も顔も、もうすっかり忘れてしまった。彼女について僕が覚えているものといえば、細くて白い指と綺麗な髪とふわふわとしたワンピースだけだった。それ以外には何ひとつ思い出せなかった。
そう思うとなんだか不思議な気がした。僕が彼女の指と髪とワンピースをはぎ取ってしまって、その残りだけが今もどこかで生きつづけているんじゃないかという気がした。しかしもちろん、そんなことはない。世界は僕とは無関係に働き続けているのだ。人々は僕とは無関係に通りを横切り、鉛筆を消り、西から東に向けて一分間に五十メートルの速度で移動し、磨きぬかれたゼロの音楽をコーヒー?ラウンジにふりまいているのだ。
世界――そのことばはいつも僕に象と亀が懸命に支えている巨大な円板を思い出させた。象は亀の役割を理解できず、亀は象の役割を理解できず、そしてそのどちらもが世界というものを理解できずにいるのだ。
到第二天的五点小雨还在不停地下着。初夏持续了四、五天的干燥之后,人们开始想这也许是梅雨结束之前的先兆雨。从八层的窗户朝外看,地面的各个角落都被淋湿变黑了。变成高架的高速公路上由西向东的车辆堵塞了几公里。再仔细地看下去,那些东西在雨中开始被溶化起来。实际上大街上所有的东西都开始溶化了。港口中的突入海中的大堤溶化了,起重机溶化了,林立的大楼溶化了,黑伞下面的人们也开始溶化起来。山上的绿色也溶化起来一声不响地向山脚流去。但是闭上眼睛几秒钟后再睁开的时候,大街又完全恢复到原来的模样。六台起重机冲向黑暗的天空中耸立在那里,车的队列也象人企盼的那样断断续续地向东移动,伞群横跨大街,山上的绿色很满足地吸收着六月的雨。
在宽大的咖啡厅里中间较低的地方有一架浓青色的钢琴,穿着艳丽桃红色连衣裙的女子在为这典型的宾馆咖啡厅演奏和弦与切分音的钢琴曲。这演奏还真不错,曲子最后的一声被吸入到空中之后,再也没有留下任何东西。
过了五点钟她还没有来,我无事可做,一边喝两杯咖啡,一边模糊地望着弹钢琴的女子。这位女子二十岁上下,长到肩的厚厚的头发被梳理地很整齐。头发跟随着曲子很规律地左右摇摆,等曲子终止时又回到中间。接着下一首曲子开始了。
她的姿势让我想起了很早认识的一名女子。是我在小学三年级的时候还在练习钢琴时候的故事。我和那位的年龄、钢琴等级都一样,有几次在一起合奏过。那位女人的名字、模样都已被完全忘掉。对那位女人我所记忆的也只有细白的手指、漂亮的头发和轻飘飘的连衣裙。除此之外什么也想不出来了。
这样一想真是不可思议。把那位女人的手指、头发和连衣裙抛开之后,剩下的也只是她现在在哪里生活着呢?当然那样的事是不存在的。世界是在和我无关联地运行着。人们是在和我无关系地穿越马路,在消铅笔,从西向东按一分钟50米的速度移动着,没有长进的音乐充满了咖啡厅。
世界——所谓的这个词总是让我想出大象和乌龟拼命支撑的那巨大的圆板。大象不能理解乌龟的作用,乌龟也不能理解大象的作用,当然两者谁也不能理解世界这个东西。
作者描述着世界的变化,描述着自己和世界的关系。
本帖最后由 yamoli 于 2015-2-23 21:22 编辑
春节外出旅游,几天不发表了。
世界、大象、乌龟的关系是什么
eagle119 发表于 2015-2-26 19:31
世界、大象、乌龟的关系是什么
你好!感谢你的光临,请多指教。
作者可能是举例说明乌龟和大象的一个相关事件或典故。